自家学習(自らの意思と金による学習)のすすめ

私が日本工業大学専門職大学院で経営学を教えていたころの話しだ。受講者は全員社会人。数年前のことである。慶応ビジネススクールが作ったアーサー・アンダーセン(現在のアクセンチュア)のケーススタディを用い、企業内教育について考えるクラスだった。

下表で赤地にAAとあるのがアーサー・アンダーセンだ。ケースが書かれた当時は社員数5万人程度、一人あたりの年間教育費は180万円ほど、全社で900億円の教育費を使っていたことになる。そこで受講者に「皆さんの会社の一人あたり年間教育費は?」と聞いてみた。結果、黄色と緑と橙の3つのグループに分かれた。

日本企業の教育は遅れている

橙地の3人は個人事業主で、自費で大学院に来た人たちだ。年間の学費約160万円を一括払いしたのがAさんとBさん、3年のローンを組んだのがCさん。立派な3人だが、ここでの議論の対象外だ。

黄色地は、日本の中堅・中小企業から当大学院に来た人たちで、会社派遣と自費が半々ぐらい。大雑把に言えば、日本企業は教育研修費をほとんど使っていないのである。なぜだろうか。経営者が、教育は会社の業績に役立たないと思っているからに相違ない。業績に役立つと信じているなら教育費をかけないわけがない。

問題:緑地の二人はどのような会社から来た人たちだろう?

この問題の答えの前に、米ゼネラル・エレクトリック(GE)。同社は「人材育成工場」と称され、教育研修に毎年10億ドル(約1000億円)を費やす。1社で、日本企業全体の教育研修費の2割を使っているといわれる。

今、病に倒れているサムスン前会長の李健熙(イ・ゴンヒ、Lee Kun-Hee)氏。“企業は人なり” と言い、“企業で人を育成しないのは、一種の罪である”と言う。

日本企業はひとを大切にすると言われて久しいが、本当にそうかは大変疑わしい。上の図はその一端を端的に現しているといえる。

さあ、緑地の二人、Y氏とZ氏だ。二人はともに、米国の会社の日本子会社に勤めており、会社派遣で大学院に来たのである。企業のサイズに関係なく、ともかく社員教育に力を注ぐのが米国の会社だ。教育研修が業績を上げると考えているのだ。

あなたの置かれた環境はどうか?あなたの会社の経営者は十分な教育投資をしているだろうか。ほとんどの人の答えは“No”だろう。会社が一方的に悪いということではない。教育サービスを提供する側も十分に悪い。これまで良い成果を企業に届けてこなかったからだ。

じゃあ、あなたはどうするか。「自家学習」しかない。自らの意思で、自らの金で、必要な学習をするのだ。我々スキルアカデミーが、そういうあなたをサポートする。これが我々のミッションだと考えている。

以上

佐久間 陽一郎
東京大学卒業、米ウェストバージニア州立大学大学院卒業、元アーサー・D・リトル・インターナショナル副社長兼マーケティング・ディレクター、佐久間コンサルティングオフィス代表(現職)、スタンレー電気社外監査役(現職)、元東北大学大学院客員教授、元日本工業大学専門職大学院技術経営研究科研究科長兼教授。
二つ大学院で計10年間(2004~2014)、社会人学生を相手に、スキル教育を実施し、絶賛を得るとともに、スキル教育体系を作り上げる。

佐久間陽一郎

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